2022年5月12日付

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20年もたてば地域の風景は変わる。かつては板ぶき、トタン屋根の家が軒を連ねた町並みも当世風に様変わり。里山もダムができ、舗装がされて近代的な景色になっていたりする。地域の”らしさ”が薄れていくようでちょっと寂しさも感じる▼諏訪市大和の山もかつてはやぶ深い林だったと記憶したが、久しぶりに訪ねると一帯は明るく開けた雰囲気だった。地元の大和二区青壮年会が花桃の植樹を十年近く続けている。目標は1千本。今年で600本を超えた▼そもそもは地元の神社に奉仕する長持ち連の一団。担ぐさおの材を将来にわたり確保するために木を植えてきた。材のめどが立った後も郷土の山に心を寄せ、新たに桃の花の名所にしようと力を合わせた。苗木は種から畑で育てたそうだ▼植樹作業には親子2代で参加して「木を植えるのは初めて」という若者もいた。取り組み発案者の土田英文さんは「息子の代につなぐ気持ちがうれしい」と感じ入る。人が集まっての活動がしにくい昨今の状況にあってもふるさとの将来に夢を抱き、志を貫く意気も頼もしい▼「拾ってきた種だから何色の花が咲くか皆目分からない」と笑い合いながら、毎年一本花開くごとに山への愛着は深まる。祭りの文化も地域の景観も、そこに住まう人の汗と思いによってのみ守られ、受け継がれる。それこそが本当に誇るべき”らしさ”なのだと教えてもらった。

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