2016年10月25日付

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野球で投手成績を評価する指標の一つに「クオリティ・スタート(QS)」がある。米大リーグでよく使われるので、知っている人も多いと思う。先発投手が6イニング以上を投げ、自責3点以内に抑えることを指す▼投手の安定感を示す数字と言っていい。代表的な成績評価の指標である勝利数は、味方打線の援護や中継ぎの出来、監督の采配などに左右される。そうした要素を除き、純粋にどれだけ試合を作れたかを表す基準というわけだ▼日米で活躍したプロ野球広島の黒田博樹投手は、QSが多い一人である。登板機会を確実にこなし、調子が悪いなら悪いなりに投げる。著書で「1試合完封しても次の試合に3回ノックアウトでは意味がない。7回、7回を連続してきっちり投げた方がチーム貢献度は高い」とする▼国が一定規模以上の事業所に対し、年1回のストレスチェックを行い、労働者の心の状態を調べることを義務付けている。全国の昨年の自殺者は2万4000人余。うち2159人が勤務問題を理由に命を絶った。職場のメンタルヘルスは大きな課題なのである▼野球で無失点を意識すると、気持ちが追い詰められ、大量失点を招きかねない。1、2点は仕方ないと思えれば、心理的に楽になる。仕事でもより完璧さを求めるのは大切だろうが、どこかに心の余裕を持っていたい。ストレスの多い現代社会を生きるこつの一つに思える。

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