2016年3月5日付

LINEで送る
Pocket

原発事故の被害者の心のケアにあたる精神科医が言った言葉という。「地震は現在を破壊し、津波は過去を破壊したが、原発事故は未来を破壊した」▼ノンフィクション作家の柳田邦男さんが紹介した上で、こう補足していた。「原発事故は今現在の生活や仕事を破壊し、先祖代々の住み慣れた家と地域(故郷)も抹殺しただけでなく、将来の生活・仕事・人生までも危うくした」(2015年12月26日、毎日新聞)と▼原発事故の影響でいまだに故郷へ帰ることができない人たちがいる。もし自分だったらと考えると言葉がない。将来の見通しが立たないことへの不安、苦悩はいかばかりか。一方で原発再稼働の動きが進んでいる。原発、あるいはエネルギーに対する国民的議論は深まったのだろうか▼原発を推進する理由の一つが発電コストといわれるが、立命館大国際平和ミュージアム名誉館長の安斎育郎さんは「福島の事故をお金に換算すればすさまじいことになる」。さらに「もし無事故で原発が寿命を終えたとしても使用済み核燃料など高レベル廃棄物を10万年ぐらい安全に管理しないといけない。そんなものを残して今の生活を続けていいのか」(同11月24日、伊那弥生ケ丘高平和学習で)と疑問を投げ掛ける▼安斎さんは「日本人は電気を使う生活に慣れ過ぎている」とも。東日本大震災からまもなく5年。もう一度立ち止まって考えてみたい。

おすすめ情報

PAGE TOP