伊那市山寺区の白山社・八幡社合殿で14日、県選択無形民俗文化財のやきもち踊りが奉納された。羽織はかま姿の区民約30人が酒盛りや踊りをした後、疫病から逃れるため、一斉に境内から鳥居の外へ駆け出すユニークな祭り。満開の桜の木の下で地域住民や写真愛好家らが見守る中、無病息災や五穀豊穣を願ってわれ先にと逃げ出した。
起源は定かではないが、江戸中期に伊勢神宮に詣でた人たちが踊りを習って来て、毎年例祭に奉納するようになったとされる。やきもち踊りという名前は、境内から逃げ遅れると「厄を持つ」との言い伝えや、踊りの歌詞の「焼餅がはらんで…」が由来するともいわれる。現在は区民でつくる保存会が継承している。
およそ40~70代の保存会の男衆約30人が境内でアユの塩焼きやどぶろくを味わい、刻みたばこをふかす酒宴を繰り広げた。その後、ほろ酔いの状態で輪になり、歌に合わせて手をたたき、足を大きく振り上げて踊った。酒宴と踊りを交互に3回繰り返し、3回目の踊りを終えると、足袋のまま一目散に走り出していた。
柴満喜夫会長(79)は「満開の桜の下で開催できたのは珍しいと思う。戦争が続く世界情勢にあるが、平和や五穀豊穣、無病息災を祈念した」と話していた。
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