寿量院に募金箱を設置した(左から)坂村龍玄住職、娘の尚美さんの遺影を持つ酒井知美さん、笠原千夏子理事長

骨髄バンクひまわりの会 募金箱設置に協力を

2024/04/19 06:00
社会

骨髄バンクのドナー登録を推進するNPO法人「骨髄バンク長野ひまわりの会」は、造血細胞の移植が経済的に困難な患者などを支援する募金活動を始めた。白血病罹患(りかん)の経験者、笠原千夏子理事長(49)=諏訪市中洲=の闘病仲間が眠る同市大和の寿量院に募金箱を設置。「長野県から全国の患者たちを助けたい」とし、募金箱を置いてくれる施設や店舗を募っている。

 

笠原さんは2012年、38歳の時に慢性骨髄性白血病を発症し、諏訪赤十字病院(同市)に入院。急性リンパ性白血病だった当時24歳の酒井尚美さん=同市湯の脇=と同じ病室で励まし合いながら、約1年間の闘病生活を送った。笠原さんは弟からの骨髄移植を受けて回復し、13年3月に退院。酒井さんは東京でドナー提供を受けたものの拒否反応があり、多臓器不全のため14年2月に亡くなった。

 

「自分だけが生きていることを責めた時期もあった。それでも親友たちの死を無駄にはしたくない」。ドナー登録説明員の資格を取得した笠原さんは、16年にひまわりの会を発足。現在は県内の説明員25人が会員として所属する。

 

日本骨髄バンク(東京都)によると県内のドナー登録者数は、対象年齢である20~54歳の人口千人当たりで6.58人(2月末時点)。全国44位と低い水準にとどまる。笠原さんは「特に若年層の登録が少ない」と指摘し、学校や地域での講演会などを通じてドナー登録の推進や骨髄バンクに関する知識普及に取り組んでいる。

 

募金箱の設置は、寿量院の坂村龍玄住職(69)が提案した。寄せられた善意は、NPO法人全国骨髄バンク推進連絡協議会の「造血細胞移植患者支援基金」に寄付するほか、啓発グッズの購入など同会の活動費用に充てられる。

 

酒井さんの母、知美さん(65)は「患者やその家族は精神的にも経済的にも負担が大きく、治療を断るケースも多い。活動が広がり、一人でも多くの患者が笑顔になれば」と期待。笠原さんは「少しの勇気や行動で患者の命が救われ、笑顔が生まれる」と支援を呼び掛けている。

 

募金箱の設置やドナー登録などに関する問い合わせは笠原さん(電話090・2743・2573)へ。

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