2024年4月10日付

2024/04/10 06:00
八面観

 「人生100年時代。これから皆さんに問われてくるのは、人間とは何か、機械とは何が違うのかであり、人間性をどう育てていくかである」南信地方の高校の入学式で校長先生が新入生に語り掛けた▼念頭にあるのは生成AI(人工知能)のような飛躍的な科学技術の進歩。そんな変化の激しい世界で豊かな人生を送るためには変化に柔軟に対応でき、常に新しいことを学び続ける探究心が大切だと説いていた▼物心ついたときからインターネットやスマホがあるデジタルネーティブと呼ばれる若者世代。自分の若い頃とはまるで違う環境だが、求められるのは柔軟な思考だったり探究心だったり。期待される人間像はそう大きく変わらないようだ。それを補完するのがAIに代表されるデジタル技術ということか▼霊長類学者で総合地球環境学研究所所長の山極壽一さんは春の新聞週間特集のインタビューで「AIと人間の最も大きな違いは意識を持つかどうかだ」とし、「AIは情報を組み合わせて体系化する装置だが、情報が持つ意味を理解するわけではない」と指摘。まさに人間性は存在せず、やはり道具だと割り切って使うのが適切のようだ▼ただ、2045年にはAIが人間の知能を上回るという仮説を唱える研究者もいる。「2045年問題」とも呼ばれる。もし暴走を始めたら-。SFのような話が現実味を帯びる。心配しすぎだろうか。

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