いまから21年前。入社3年目の途中から県警本部が仕事場になり、事件事故の原稿をほぼ毎日書いた。強盗や殺人などの凶悪事件も目立ち、2カ月に一度の頻度で捜査本部が立った年もある▼「俺、俺だけど」。特殊詐欺の代表格・オレオレ詐欺が出始めたのもこの頃。東信で県内初の被害が確認されたと報じた。手口が多様化、巧妙化し、名称も振り込め詐欺、特殊詐欺へ。県警では独自の呼称「電話でお金詐欺」を用いて注意を促す▼21年前は県内の刑法犯認知件数が年間3万件を超えていたが、官民一体の総合対策で年々減り、昨年は7780件(暫定値)。ただ、特殊詐欺の被害はそうはいかない。昨年の件数は227件、被害額は約9億8千万円で前年を大幅に上回る▼特殊詐欺とは別の類型になるそうだが、最近は交流サイトを通じたSNS型投資詐欺が多発。全ての世代がまずは「自分は大丈夫」と過信しないことだろう▼被害を回復する│として詐欺の二次被害に遭う例がある。もう一つの深刻な二次被害に関し、自殺に関わる相談を受けるNPO代表が警察庁の資料に言葉を寄せる。「財産をだまし取られたことを責められ、孤立した結果、死を選ぶという悲惨なものもある。(中略)『悪いのはあなたではなく犯人』ということを家族も周りの人々も受け入れ、社会全体が連帯責任と受け止めて被害者を支える体制をつくることが大切だ」。
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