単身赴任を機にスーパーを利用する機会が増えた。勤務時間の影響もあり、閉店間際や24時間営業の店舗利用がほとんど。必要な食材が欠品していることも多いが、時間帯を考えれば致し方ないと割り切るようにしている▼いつ行っても品ぞろえ豊富。そんな理想を店側に押し付けても酷な話。過剰な在庫は大量の食品ロスを招く。消費期限の短い製品であればなおのこと。翌日の売り場に並べてもより新しい商品を求める堅実な消費者には敬遠され、値下げや廃棄対象になる恐れがある▼「少し余らせるぐらいがちょうどいい」。30年ほど前、小売業に従事していた時に配属先の日配部門で上司に言われた言葉を思い出す。直近の売り上げデータや翌日の気温にも配慮して発注したはずの商品。在庫調整に失敗して大量に廃棄する憂き目に遭い、商売の難しさを痛感した▼国内で発生する年間食品ロス量の推計は523万トン(2021年度)。一般社団法人ウェルネス総合研究所(東京都)によると、この数は飢餓で苦しむ人に対する世界の食品支援量の1.2倍に相当するという▼ロス量の内訳は食品関連事業者による事業系が279万トン、家庭系が244万トン。政府は賞味・消費期限の延長方針を検討しているが、ロス削減には事業者と消費者の双方から取り組みが必要となる。「期限」を過度に意識することなく、食材を使い切る賢い消費者でありたい。
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