伊那の老松場古墳群 第5次調査7日開始

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関西大学考古学研究室が第5次調査で調べる老松場古墳群の2号墳

関西大学文学部考古学研究室は7日から、伊那市教育委員会との共催で同市東春近の老松場古墳群の第5次調査を開始する。調査は2年ぶりで、これまで4次にわたる調査で1号墳が南信地方最古の前方後円墳であることや、その形状から大和政権とのつながりを示す重要な古墳である可能性などが確認された。今回は9月上旬まで、上伊那地方の古墳の特徴が見られる2号墳の発掘調査を行う。

老松場古墳群は7基の古墳からなり、このうち1号墳は当初、二つの円形の古墳がつながった双円墳とみられていた。しかし、2015年、地元の東春近小学校の当時6年生から「前方後円墳ではないか」と疑問が上がり、測量調査を行った結果、前方後円墳の可能性が高まった。これを受けて市教育委員会は同研究室に委託し、17年度から3年計画で本格的な調査を実施。21年度には1、2号墳の埋葬施設の構造と規模を確認するため、第4次調査を行った。

今回は同研究室が国の科学研究費助成事業・基盤研究Cを活用し、2号墳を調査する。2号墳は5世紀後半に築造されたと考えられる、墳丘が低い円墳。低墳丘墳とも呼ばれ、上伊那地方に多く残る古墳の特徴を示している。低墳丘墳は工事などで内部の埋葬施設が損害を受けることが多く、施設構造が分かっていないという。

同研究室の米田文孝教授は「伊那谷で特徴的な低墳丘墳の墳丘構造や埋葬主体部の全容が明らかとなり、副葬品が出土することを期待している」と話した。同古墳群は「地域の人が大事にしている文化財」とし、丁寧に調査を進めたいとした。

調査結果は年度末までに調査報告書にまとめる予定。市教委は調査報告書を基に文化財の指定を進めていく方針。

調査に合わせて、現地説明会と発掘体験を同古墳群で行う。説明会は26日午前10時30分、午後2時30分からの2回。発掘体験は9月2日午前10時30分から。いずれも参加無料で事前申し込み不要。雨天の場合は翌日に延期する。問い合わせは市創造館(電話0265・72・6220)へ。

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