2016年12月06日付

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想像してみてください―。赤穂高校(駒ケ根市)が5日に1年生を対象に開いた平和学習会。講師を務めた久保田誼さん(74)=伊那市=は、240人の生徒たちに何度かこう語りかけた▼久保田さんは元高校教諭。伊那市上の原に住宅を購入した際、敷地内にあった物置小屋が戦時中に建てられた弾薬庫だったことを知り、教え子らと周辺を調査。一帯に旧陸軍伊那飛行場があったことを突き止めた▼学習会では、飛行場が航空兵養成の拠点となり、特攻隊員が敵に突撃するための特殊な飛行訓練も行われていたことなどを説明。「熊谷陸軍飛行学校伊那分教所」の正式名称判明の決め手になった写真が、特攻隊員が出撃前、飛行場で母親と“最後の面会”をした際に渡されたものであったことなど、この地域を舞台に戦争と向き合った人々の姿を紹介した▼かの戦いで戦況が絶望的になると、軍部は本土決戦を主張。特攻隊員だけでなく、軍需産業や食糧増産への学徒動員など、「一億玉砕」の掛け声とともに泥沼にはまっていく。今、子どもたちが通っている学校も、そうした戦いの現場になっていた▼国民やアジアの幸せを目的に始めたはずの戦争が、最後は国民が国のために命を投げ打つ戦いに変わった。国とは何か?―。久保田さんの問い掛けは、生徒たちにどう響いただろうか。日本が太平洋戦争に突入していった12月8日が、またやってくる。

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