2016年12月22日付

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職業柄「文章をうまく書く方法は」と質問を受けることがある。物書きとはいっても末端にいる身で何と返していいのか分からず、「本でも新聞でも良質な文をたくさん読んで」などと、役に立つか分からない答えをしている▼よく考えると、作文には第三者の目を持つことが特に重要だと思う。書くという行為は自分だけの世界に入ることでもある。だから、視野が狭くなってしまう。自分は分かっているからと説明が不足したり、独り善がりで文のつながりを欠いたり▼解決策を経験から言えば、いったん書いた文を時間を置いて読んでみると効果が大きい。できた原稿を翌日読み返すと、修正がスムーズにいくのがいい例だ。自分の文から離れてみる。休みを入れる。そんなイメージかもしれない▼元陸上選手の為末大さんが著書「日本人の足を速くする」で、面白い話を紹介していた。選手がけがから復帰したとき、実力が上がったと分かることがあるというのだ。練習を休んでいたのだから力は落ちているはずなのに。為末さんは日常に距離を置くことで余計なものが省かれる「忘却効果」と説明していた▼おそらく、普段を離れて物事の本質が見えてくるのは、どんなことにも言えるのだろう。休日を単に楽しい、楽だったで終わらせず、日常生活から離れた自らの振り返りの場にしてはどうか。近づいた年末年始休みは絶好の機会という気がする。

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