考え方は信州人 岡谷出身の作家柳谷郁子さん

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高校時代の同期会「八葉会」に出席のため帰郷した柳谷郁子さん

高校時代の同期会で古里を訪れた、岡谷市出身の作家柳谷郁子さん(80)=兵庫県姫路市在住。古里を離れて60年余になるが、「諏訪湖のほとりに生まれ、八ケ岳を仰ぎ見て育った。物の考え方、執念のもっていき方は今も信州人と、年月を経るごとにつくづく思う」という。帰郷した機会に話題の著書や今後の活動について話を聞いた。

■古里への思いがにじむエッセー

柳谷さんは諏訪二葉高校、早稲田大学卒業。文学同人誌「播火」を主宰し編集長を務めている。著書は「月柱」「風の紋章」のほか絵本や童謡作詞など多岐にわたる。

今春発刊した「諏訪育ち-姫路にて」は、2001年の「播火」42号から16年の99号の巻頭エッセー53編をまとめた。「播火」創刊号から41号までの巻頭エッセーなどを収めた「諏訪育ち」の続編。古里への思いがあちこちからにじみでている。

このうちの1編「われは湖の子」は、「琵琶湖周航の歌」を作詞した小口太郎と、柳谷さんの父親山岡益雄さんが無二の親友だったことがモチーフ。評論家の森田実さんとの縁もこの編がきっかけとなり、「美しい文章は諏訪湖の自然と姫路城の人造美が調和し、読者の心に響く」と寄せている。207ページ。1600円(本体)。

■代表作の長編で戦争の秘録

代表作の長編「望郷-姫路広畑俘虜収容所通譯日記」は、姫路にあった捕虜収容所の通訳が書いた日記を軸に、戦争の推移と一般庶民の日常的な視点と感覚でひもとき、紹介したもの。日記は田原栄通訳が克明に記した日報で、田原さんの33回忌に自宅の押し入れから見つかり、遺族が柳谷さんに持ち込んだ。

柳谷さんは英語の日記を翻訳、関わる膨大な資料を収集し、6年掛けて11年に上梓。作家の伊藤桂一は、「戦後60年、はじめて世に出る秘録。限りない感動を以ってこの書を推奨せざるを得ない」と、帯で記している。527ページ、2400円(本体)。

これからの作家活動については、「生きられる限りペンを握り後世に遺るものが出来たら」といい、現在長編5作を構想。うち1作は中高校生向きでタイトルは「湖上の群像」と決め、小学6年の担任との交流を基に家族や竹馬の友が入り混じる。「『諏訪育ち』もあと1冊書いて3部作にしたい」と話している。

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