2016年4月4日付

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8本の巨木が動き出した。幕を開けた諏訪大社御柱祭。上社山出しがスタートし、諏訪地方は7年目ごとに巡ってくる熱気に包まれている▼御柱祭には、ならではの言葉があふれている。「山出し」「里曳(び)き」から「木落し」「川越し」「建て御柱」。御柱祭に関わりの少ない人には「なんのこっちゃ」だろうが、諏訪地方の人々は言葉を目にしたり、聞いたりしただけで情景を心に描くことだろう▼まだまだある。「おんべ」「てこ棒」「メドデコ」に「大曲(おおまがり)」「御柱屋敷」「注連掛(しめかけ)」などなど。掛け声にしても「よいさ。よいさ」と耳にすれば真っ先にイメージするのは御柱祭に違いない▼一般的には全くなじみがなくても、その地方地方の人たちにとっては親しみ深い言葉として、方言にも相通ずるものがあると思う。諏訪、上伊那地方に共通する方言に「ごしたい」や「前で」が思い浮かぶ。「疲れた」と言うよりも、「ごしたい」と発する方が実感がこもる。「前にある」よりも、「前でにある」の方がしっくりくる▼郷里を離れた学生時代に、方言とは知らずについ口に出すと、県外出身の友人から「ごしたいって腰が痛いの?」「前でがあるなら『後ろで』もあるの?」とからかわれたのを思い出す。でも、方言には古里の温かさを感じさせる力がある。方言に触れると、言葉が通じない海外で日本語に出合ったような安堵感に浸ることができる。

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