2018年3月10日付

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もちろん好みは人それぞれだろうが、個人的には表面が少しパリッとするぐらいがいいと思う。「くるみみそ」の香りが食欲をそそり、芽吹きの頃ならサンショウがいい風味を出す五平餅は、上伊那地方の郷土食の代表格だろうか▼半世紀にわたり伊那谷で五平餅を作る食品加工卸会社「鈴平」の会長、鈴木良典さんに、その歴史を伺ったことがある。伝承はいくつかあるが、同社は「江戸時代中期頃から、伊那地方の猟師やきこりの間でつくられるようになったといわれる」と紹介している▼愛知県内の有線テレビ局が制作した番組「東海の肖像『五平餅~山里の郷土食のルーツとその伝播』」が興味深いアプローチをしていた。長野県の南部から岐阜県の東濃・飛騨地方、愛知県三河地方の山間部を中心とした地域で文化圏を形成しているという五平餅▼番組では諸説あるルーツを取り上げ、「御幣餅」と「五平餅」の違いも検証。伝え残された形は「わらじ型」「キリタンポ型」「だんご型」「丸平型」とさまざまあるが、商売に適したであろう「だんご型」や「丸平型」が街道沿いに普及している特徴を紹介していた▼伊那市のボランティアグループ志和の会が、千葉県南房総市で郷土料理を教えたそうだ。食を通した交流で五平餅を知った南房総の人たちは「道の駅に並べたい」と話していたという。食文化はこうやって伝わっていくのかもしれない。

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