2018年03月27日付

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仕事で、全く知らない事柄や用語に出合うことがままある。まずはインターネットの検索機能を使って予備知識を得た上で、具体的な取材にかかる。そんな手順で対応するのが最近の常だ▼かつては人に聞き、関連する本を読んで調べ、ほしい情報にたどり着いた。時には専門分野に詳しい人に時間を割いてもらったり、図書館にこもって調べたこともある。それがパソコンの数回のキー操作で済むのだから便利な時代になった、と言っていいのだろう▼ただ、いいことばかりではない。たやすく手に入った知識は実感や必要な時間を伴っておらず、身につきにくい。習得したはずがすぐに忘れ、しばらくたつと、同じようにネットを操る自分がいる。得たものが血肉になったとは言い難い▼慶応義塾の塾長を務めた小泉信三さんの著書「読書論」に「すぐ役に立つ人間はすぐ役に立たなくなる」という言葉が載っていた。当時の大学学部長が経済界から即戦力を求められたのに返した言葉で、物事の本質をじっくり学ぶ重要性を説いたということらしい。小泉さんは「至言だ」と書いていた▼職場や学校で若者たちが新生活を始める季節が来た。これからの人生には壁が立ちはだかり、周囲に遅れを取ったと感じることもあるだろう。でも、目先のたやすさに飛びつかず、遠回りでも時間をかけて一歩ずつ前に進んでほしい。本当の成長に近道はないと思う。

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