2018年4月20日付

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職場のパワーハラスメント(パワハラ)に関する記事を目にするたびにイソップ寓話「北風と太陽」を思い出す。どちらが旅人のコートを脱がせられるかを競う物語。そこには厳しい態度は相手をかたくなにさせ、温かく優しく接すれば心を開く組織行動学的教訓が盛り込まれている▼現実社会ではパワハラ防止策の法制化に黄信号が点っている様子。国の働き方改革実行計画にも防止策強化検討が明記されているにもかかわらずだ。パワハラの定義にはあいまいな点もあり線引きは難しかろう。だが、もたついている間に被害者は増えるばかりだ▼厚生労働省が昨年まとめた2016年度個別労使紛争解決制度施行状況によると「いじめ」や「嫌がらせ」などパワハラ関連の相談が最も多く、5年連続6万件超えという。潜在的な数を思うと恐ろしい気もする▼専門家によると、パワハラする人には▽気が小さく自信がない▽他人とコミュニケーションがとれない▽リーダーの器ではないと感じている―などの特徴があるという。その上、本人たちは「パワハラをしている認識が薄い」とも▼パワハラ防止法制化の是非は今後、厚労省の諮問機関労働政策審議会に委ねられる。ただ、それ以前に社会を構築する一員としての資質が問われる問題でもあろう。北風が高じて、やがて「裸の王様」(アンデルセン童話)にならないための自覚がより求められている。

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