神子柴遺跡発掘60周年 伊那市で特別展

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貴重な石器などが並ぶ特別展=伊那市創造館

貴重な石器群が出土した「神子柴遺跡」(南箕輪村)の発掘60周年を迎え、伊那市創造館は2日から、記念特別展を同館1階の特別展示室で開く。発掘調査の担当者だった故・林茂樹さん(1924~2004年)が市内で発掘した石器などを数多く展示。同遺跡への理解を深めるとともに、市内の旧石器時代の遺跡を見直す内容になっている。6月25日まで。

同遺跡は、約1万5000年前の旧石器時代最終末から縄文時代草創期の遺跡とされ、1958年から3度にわたる発掘調査で尖頭器(せんとうき)や石斧(せきふ)など石器87点が出土した。未使用の状態で、環状に配置されるなどの特徴があり、遺跡の性格をめぐって祭祀(さいし)場や墳墓、住居説など多くの説が唱えられている。何より美術工芸品を思わせる美しさから88年、国重要文化財に指定された。現在は同館2階で常設展示されている。

今回の特別展では、林さんが発掘調査に関わった市内の遺跡を中心に取り上げ、神子柴遺跡から西方約500メートル先の「牧ケ原遺跡」(同市御園)で出土された石器など多くの出土品を展示する。ほとんどは林さんの遺族が市に寄贈した石器などで、一部は「上伊那誌歴史篇」(65年刊行)などで紹介されているが、これまで展示される機会がなかった貴重な出土品ばかりが並ぶ。

牧ケ原遺跡は63年に林さんの指導で同市伊那中学校の考古学クラブによって発掘調査され、尖頭器やナイフ形刃器など計488点が出土。石器の製造過程で出る削片が多く発掘されたことから旧石器時代末期の石器製造跡と考えられ、上伊那では神子柴遺跡に次ぐ、数少ない旧石器時代の調査例だ。

牧ケ原遺跡をはじめ、市内には旧石器時代の遺跡が12カ所あり、天竜川東側に集まっている。だが、過去に旧石器時代の石器などが見つかったと記録された場所を含めると市内全域で出土していることが地図パネルから分かる。長谷の戸台秋葉洞窟からは絶滅した大型動物とみられる骨が見つかり、今回、展示された骨には、人為的に割って中の骨髄を食べた痕跡がある。

このほか、石器のレプリカの作り方を紹介。神子柴遺跡から出土した石器に使われた黒曜石などに触れるコーナーを設ける。

学芸員の浜慎一さんは「今回、初公開する出土品ばかり。常設展示と合わせて旧石器時代の遺跡をもう一度振り返ってほしい」と来場を呼び掛けている。

観覧無料。時間は午前10時~午後5時。9月末に発掘60周年を記念した講演会とシンポジウムを開く予定。問い合わせは同館(電話0265・72・6220)へ。

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