早朝の空気、さえずり 塩嶺小鳥バス600回

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通算600回を迎えた「塩嶺小鳥バス」

日曜日の早朝、岡谷市郊外の塩嶺小鳥の森で野鳥観察を楽しむ「塩嶺小鳥バス」が3日、1954年のスタートから通算600回を迎えた。節目の今回も諏訪地方や県内外から訪れた約70人が、初夏を迎えて緑が濃くなった森で早朝のすがすがしい空気と野鳥のさえずりを満喫した。

小鳥バスは教員で野鳥研究家だった故小平万栄さんの発案でスタート。当初は5月から7月まで3カ月間運行していたが、68年から5月と6月の2カ月の運行とし、脈々と続いてきた。「小鳥バス」は俳句の季語にもなり、環境省の「日本の音風景100選」にも選ばれている。

バス1台では乗り切れず、タクシー3台に分乗して塩嶺閣に到着した参加者は、案内役の日本野鳥の会諏訪支部長で塩嶺小鳥の森コーディネーターの林正敏さん(74)の話を聞きながら、クロツグミやキビタキ、ウグイスなどの盛んなさえずりに耳を澄ませた。同支部会員によると、今回も30種のさえずりが確認できた。

今季は初めて参加したという岡谷市東銀座の増澤孝子さん(86)は、小鳥バスの魅力を「山のきれいな空気を吸って鳥の説明を聞く。姿は見えないけれど、さえずりが響く森の雰囲気が好き」と話し、「昔は子どもを連れて家族で参加した。林さんの話を聞いていると小平先生の面影も浮かんでくる」と笑顔。名古屋市から夫婦で初めて参加した尾高郁子さん(58)は、「野鳥だけでなく、植物の話など先生(林さん)の話が面白くて、普通の探鳥会と違うところが良かった」と満足そうだった。

毎回、散策終了後に塩嶺閣で行う抽選会には、いつもの岡谷市の物産に加えて、600回の節目を記念して林さんが描いたオオワシの「グル」の絵が特別賞もあった。林さんは小鳥バスが65年間、600回続いてきたことに、「野鳥の知識がなくても、手ぶらで気軽に参加できることが一番の理由では」と推測。「これからも森が維持されて、今以上に鳥にとって豊かな環境になり、利用する自分たちは環境を乱さないようにしながら楽しむ。小鳥バスは文化。自然の素材をうまく使いながら文化を育てていくことが大切だ」と話している。

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