2018年08月03日付

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「生産性がない」。こう言われれば誰でも少なからずショックを受けるだろう。これが特定の人たちに向けられた国会議員の言葉だというから驚く。各メディアも批判的な論調で取り上げている。当然だろう▼これは偶然だったのか。この問題が物議を醸す中で迎えた7月26日は神奈川県相模原市の知的障がい者施設で元職員の男が入所者19人を殺害した事件から2年の節目だった。男は障がい者を差別し、「生きていても意味がない」などと主張、排除すべきだと考え犯行に及んだとされる。多くの識者は優生思想に基づく独善的な犯行という見方を示した▼生産性という物差しで人の価値を決めるような考え方はこの事件と通じるように思えてならない。とても危険で恐ろしい思想である。それが国をつかさどる国会議員から飛び出す。はからずも偏見や差別といった社会の暗部をあぶり出したように見える▼誰でも年を取れば多かれ少なかれ心身に支障を来す。生産性という観点から見れば社会から不要と見なされかねない状況になる可能性がある。件の国会議員だっていつかは通る道だろう▼そうした意味では「生産性がない」という言葉は私たち一人一人に向けられたものと捉えるべきであり、そのような考え方にはくみしないことが大切ではないか。拡大解釈による切り捨ては際限なく広がる危険性もある。相模原事件から学ぶ教訓でもあると思う。

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