文学賞を収録した初の単行本 中山夏樹さん

LINEで送る
Pocket

自著「サイゴン陥落の日に」を手にする中山さん

諏訪市出身の作家、中山夏樹さん(66)=さいたま市=が執筆し、平凡社第2回晩成文学賞を受賞した処女作「サイゴン陥落の日に」など4作品を収めた単行本が出版された。表題は同作と同じ。定年退職後に小説を学び、書き始めた中山さんは「60歳からの人生をどう生きるかを考えた時、何かにチャレンジする生き方を選択した。最期まで書き続けたい」と語った。

中山さんは大手製薬会社の元役員で2013年に退職後、戯曲セミナー、小説講座に参加しながら執筆活動を開始した。「サイゴン陥落の日に」は14年12月から約3カ月間で書き上げた。中山さんには1975年のベトナム戦争終結時に身の安全を守るため、カナダに向けて出国していったベトナム人の同級生がいる。作品では出身国がなくなること、予想される苦難を前に不安におびえつつも生き抜く術を必死に考え、実行に移す若者の切迫感が生々しく描かれている。

収録作は他に中山さんの父親の体験や記憶に基づいた作品で諏訪地方が登場する「西北の地から」(16年、第33回さきがけ文学賞受賞)などがある。同作は、世界一周の旅の中で自らの生き方を見つけようと、27歳で仕事を辞めた青年が主人公。死期が迫った祖父が住む諏訪を訪れ、そこで出合った祖父の手記から終戦前後やシベリア抑留の体験を知り、自身が旅立つ意味に気付く成長を描いている。

自身初の単行本を手にした中山さんは「まさに感無量」と笑みを浮かべ、「どこかで読者自身の生き方に反映してもらえるのではないかと思う。新しい挑戦を後押しできるような作品を書いていきたい」と話していた。単行本は四六判232ページ。平凡社刊。1600円(税別)。

おすすめ情報

PAGE TOP