伝えるベトナム戦争 石川文洋さんが記録集

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発刊した「ベトナム戦争と私」に署名する石川文洋さん

ベトナム戦争が激しかった4年間サイゴン(現ホーチミン)に住み、戦場を駆け巡った報道写真家石川文洋さん(82)=諏訪市尾玉町=が、南ベトナム軍とアメリカ軍に従軍して取材、長期にわたって見届けた記録集「ベトナム戦争と私 カメラマンの記録した戦場」(朝日選書)を発刊した。先輩記者たちの体験記も含め分かりやすく戦争を分析、次の世代に伝えている。

石川さんは沖縄県那覇市に生まれた。1964年26歳のとき毎日映画社を辞め、世界一周無銭旅行に出発。最初に香港へ上陸、そこから戦争中のベトナムに行ったことが、その後の人生を大きく変えた。

65年、戦争とはどんなものかを知りたくてサイゴンへ移住。乗っていた小型四輪駆動車が降りた途端に地雷に触れて破壊され、間一髪で助かった。こうした危険と向き合いながら戦場で取材、また戦闘機が飛び交う中でも黙々と農作業する人々や、恐怖におののく子どもやお年寄りなど、戦争で押しつぶされる被災者の姿も追った。

普段は人間味あふれる兵士も戦闘になると人が変わる「戦争の実態」を目の当たりにしながら、複雑な心境で膨大な記録を重ね、撮影した写真は2万5000枚に及ぶ。

帰国後は朝日新聞社に入社、84年からはフリーカメラマン。毎年ベトナムにわたり、同国の発展や戦争中に散布された枯葉剤の後遺症被害をテーマに現状を記録、戦時中に出会った人々のその後も追っている。

選書は月刊誌「公評」に連載したものに、「南と北の両方からベトナム戦争を撮った」「戦争終結」の章を新たに加筆。紀元前の同国建国から今日に至るまでの年表も収録した。

石川さんは「写真家としてひとつの国の変化を長期間記録できることは喜びである」とし、「戦争は大切な命を奪い、財産、自然を破壊、深い後遺症を残す。防ぐにはどうしたら良いかを考えるべきだと思う」と訴えている。

朝日新聞出版。四六判。414ページ。定価2000円(税別)。全国の書店で扱っている。

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