保育所待機児童が現実味 茅野市

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茅野市 2歳児保育園等入所率推移

諏訪地方の保育所で3歳未満児の入所希望が増加している。子育て世代が多い茅野市では、2歳児の人口に占める入所児童の割合が4割台に達し、小学校入学前の「4年保育」が定着しつつある。未満児は3~5歳児に比べて保育士を手厚く配置する必要があるため、現場では保育士不足が慢性化。人材確保も思うように進まず、保育所に入ることができない「待機児童」の発生が現実味を帯びてきた。新型コロナウイルスの感染対策で保育所の社会的な役割が見直される中、保育関係者は「社会全体で保育の在り方を考えて」と訴えている。

「令和2(2020)年度の非正規保育士、延長保育補助員を募集します」。茅野市が1月中旬に募集した保育人材は合わせて20人。市幼児教育課によると、入所希望の受け付けを始めた昨年10月以降、保育サービスの需給調整をする中で「保育士が足りなくなる場面があった」という。

20年度は結果的に保育士が充足し、待機児童の発生は回避できる見通しだが、「ここ数年は綱渡りの状態」にある。3~5歳児は減少傾向で「全員がどこかの園に入ることができる」ものの、0~2歳児は保育士の確保ができなければ「待機児童が出る可能性がある」のが現状だ。

原因には、育児休暇制度の定着で働き続ける女性の割合が増加したことや、3~5歳児の幼児教育無償化に伴う保育ニーズの高まり、保育士不足と地域間の人材の奪い合いを指摘する声がある。幼児教育課は「保育士不足の理由は一つではない。保育の問題にとどまらない、社会全体の在り方の問題ではないか」としている。

今井敦市長は「保育を取り巻く環境が大きく変わり、未満児への対応が困難になっている。状況を打開するための人材確保も思うようにいかないのが現状だ。できるだけ早く体制を構築できるように、引き続き人材確保に努めていく」と話している。

県内では2018年に松本市と安曇野市で計50人の待機児童が発生し、19年は松本市と長野市、中野市で計80人に増えた。いずれも4月1日時点で、全員が3歳未満児だ。

国の保育士配置基準は、4、5歳児が30人に1人、3歳児は20人に1人だが、2歳児は6人に1人と、低年齢に手厚く設定されている。茅野市の2歳児入所率は19年度が43・13%。9年間で15・7ポイント増え、保育士不足は構造的な問題となっている。

ある保育士養成校の教官は「学生は地元(公立)志向が強いが、公務員試験に落ちて非正規になったり、諦めたりするケースがある。保育士不足の解消には、養成校の学びの成果を確かめる内容に変更するなど、採用試験の見直しが必要では」と指摘する。

待機児童が多い首都圏からの積極的な勧誘もある。茅野市出身で都内の認定こども園で働く保育士の男性(24)は「一度は東京で働いてみたかった。やりがいは長野県の保育園にあるが、地方の待遇を考えると、思いだけでは古里に帰れない」と明かす。

同市の常勤保育士は約140人で、雇用形態は正規が55%、非正規が45%。市は「保育の質の維持」を理由に採用試験の見直しに慎重な姿勢で、学生に加え、退職者にも現場復帰を呼び掛ける。一方で「若い保育士が地元に残らなければ10~15年後に問題になる」(幼児教育課)とし、保育士不足がまちづくりに与える影響を心配している。

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