諏訪市教念寺の「羅漢図」 修復に向け搬出

LINEで送る
Pocket

掛け軸を開いて羅漢図の現状を確認する岡岩太郎社長(右から4人目)ら=諏訪市の教念寺

諏訪市小和田の教念寺(小口秀孝住職代務者)で2日、同寺が所蔵する国の重要文化財「絹本著色2幅『羅漢図』」の修復に向けた搬出作業が行われた。国宝などの文化財修理を手掛ける岡墨光堂(京都市)の岡岩太郎社長が訪れ、羅漢図の現況を確認して引き取った。羅漢図は京都国立博物館文化財保存修理所(同市)で保存修理が施され、2022年3月までに戻る予定という。

諏訪市教育委員会発行の「改訂諏訪市の文化財」などによると、羅漢図は釈迦(しゃか)の優秀な弟子・羅漢の「羅ご(目に|侯)羅尊者(らごらそんじゃ)」と、「半託迦尊者(はんたかそんじゃ)」を描いた双幅。いずれも縦136センチ、横53センチ。鎌倉時代かそれ以前の制作といわれ、寺の由緒書には1801(享和元)年に伊勢の宝積院の義音上人から教念寺17世卓門上人に贈られたとある。作者は不詳。

修復は1936年以来84年ぶり。絹の損傷や絵の具の剥離・剥落など経年劣化していることを考慮し、国や県の補助金を活用して修理総額約1700万円で行う。搬出作業は当初4月30日に予定したが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて延期に。緊急事態宣言の全面解除で県境をまたぐ移動の自粛が緩和されたことを受け、約1カ月後に実現した。

羅漢図の受け渡しには、檀徒(だんと)役員や市教委文化財係職員ら約10人が立ち会った。岡社長は羅漢図の掛け軸を開いて現状を確認した後、「破れの繕いも丁寧で、当時としてはできることを精いっぱいされている。物理的に壊れているところは回復して延命したい。色が剥落した場所に復元的に何かを作ることはしない。自然な色を付けて痛々しくないように仕上げる」と語り、解体修理で過去の記録が出てくることに期待を寄せた。

小口住職代務者は「保存修理は今を生きるわれわれの使命で、次代に伝えていくのが務めだと思う」と話した。宮坂勝太主務者は「大きな補助金を頂いて行う事業。修理後は檀信徒の皆さんに見ていただく機会を設けたい」とした上で、同寺が所有する市有形文化財「阿弥陀如来来迎図(別称・黒阿弥陀)」の修復についても今後の検討課題とした。

おすすめ情報

PAGE TOP