小野のシダレグリ自生地 再生事業スタート

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国天然記念物「小野のシダレグリ自生地」で再生事業の進め方を確認する委員たち

辰野町教育委員会は今月下旬、同町小野の国天然記念物「小野のシダレグリ自生地」で、保存管理計画に基づく再生事業をスタートする。2022年度まで3カ年の予定で、指定区域の支障木の伐採と草刈りを実施。植生の過密や日照不足といった課題を改善し、シダレグリの生育環境向上を図る。自生地は、1920(大正9)年の記念物指定から100年の節目を迎えた。一帯を可能な限りシダレグリの純林へと近づけ、指定当時の環境を回復させることを目標に取り組んでいく。

シダレグリ自生地は、国内最大規模の指定区域約2.2ヘクタールに、幼木から樹齢400年の巨木まで900本余りが生育。町の代表的な自然景勝地として、観光客の人気を集める。町教委では、近年枯損木が目立ってきたのを受けて抜本的な対応を検討し、18年度まで4年を費やして保存手段や公開・活用の方針を盛り込んだ保存管理計画を定めた。

再生事業では、委託業者が指定区域の左右外側に作業道を開き、シダレグリと希少植物を守りつつシラカバ、アカマツなど他種の支障木を伐採。徹底した下草刈りと合わせ、適切な樹間と日照条件を確保する。11月までに、伐採した木を索道機で搬出する。今年度分事業費は800万円で、半額を国の補助で賄う。

再生事業に合わせ、15年前から保全活動に取り組む、地元有志の小野のシダレグリ自生地保全友の会も協力。春先に実施した幼木保護のための目印付けに加え、今後は外来種オオハンゴンソウの駆除も含めて各種作業を進める。

事業に先立ち2日、作業の進行確認や助言を担う同自生地保存管理委員会(委員長・大窪久美子信大農学部教授)が現地を視察。識見者や山林組合役員らの委員が町教委と業者の説明を聞き、昨年度の発足時から協議を重ねた作業概要と手順を確認した。

町教委はほかに、塩嶺王城パークラインに面した自生地0.7ヘクタールを、指定区域として文化庁へ追加申請すると説明。認可されれば指定区域が約3ヘクタールへ拡大するという。

大窪教授は「シダレグリ自生地は、先人が間伐や草刈りをすることで守られてきた場所。今後も人の手による保全が必要で、天然記念物としては珍しい手段といえる。地域の財産を未来へ残す事業になれば」と期待を寄せている。

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