感染症対策整備も厳しい経営状況 岡谷市民病院

LINEで送る
Pocket

第2種感染症指定医療機関として新型コロナウイルス感染症治療の最前線に立つ岡谷市民病院(岡谷市)。7月5日までの時点で、同感染症入院患者8人を受け入れてきた。今後到来が懸念される「第2波」に備えて安全な治療、検査体制の整備に力を入れるが、一方で指定医療機関ならではの風評被害や診療控えにより、一般患者の利用が大きく減少。厳しい経営状況に直面している。

「若い看護師たちの頑張りに感嘆した」。横浜港に停泊していたクルーズ船の感染者2人を受け入れた2月13日以降、未知のウイルスと命懸けで向き合ってきた職員の仕事ぶりを振り返り、病院事業管理者の天野直二院長は語る。

7月5日までに、保健所の紹介により同病院で検体を採取したPCR検査数は132件。このうち4件が陽性だった。入院した感染症患者は10~70代の8人。症状が重篤化した事例も1件あったが、ほとんどが30日余で完治、退院している。5月18日以降新たな入院患者はいなかったが、一時は感染症病床の定員4床を上回る時期も。隣接する病棟を隔離する形で病床数を6床増やして対応し、4月中旬から5月上旬にかけて計18日間、5人の患者を同時に受け入れた。

患者の受け入れ状況を明らかにしたのは5月29日。入院先医療機関を公表しない県の方針に準じてきたが、諏訪保健所管内で新たな 感染者が発生していないことや今後の感染症対策強化を 見据えて公表に踏み切った。病院には情報の公開を求める問い合わせや、無理解・勘違いによる中傷もあったという。酒井吉之事務部長は「一生懸命取り組んでいるのに、言うに言えない状況だった」と吐露する。

公表後は第2波に備え、感染症対策を強化。より安全な環境で診察や検体採取を行える発熱外来の設置を想定した専用エアーテントや感染の有無を調べる抗原検査キット、PCR検査装置も導入し、できる準備を進めてきた。

一方で感染症が全国に広がった2月以降、風評被害や診療控えによって患者数が減少。経営状態が悪化している。入院、外来を合わせた4月の収益は前年同月比15.3%減の3億9723万円。5月19.5%減の3億7267万円にとどまっている。

天野院長は「病院の現在の機能を維持していくことが重要」とし、改善の見通しが立たない状況を危惧。「地域医療構想とは別の問題。コロナを理由に病院を縮小したり、つぶしてしまってはいけない」と語気を強め、減収分の補填に向けた国による支援の必要性を訴えている。

おすすめ情報

PAGE TOP