2020年7月24日付

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今年は玉が小さかったり、生育不良のまま腐ったりして大変だよ―。ジャガイモを栽培する知人男性がため息をついていた。長雨や日照不足の影響で、多種の農産物が不作になるとの懸念が強まっている▼都内中央市場では6月からジャガイモやニンジンの出荷が充足せず、例年比約2倍の高値で取引された。コロナ禍に大雨被害が重なり、食糧難から価格高騰へ負の連鎖が起こるのか。試練は人を鍛えるために課されるはずだが、過ぎた仕打ちには心も折れてしまう▼悲観やるかたなく立ち寄った、上伊那地方の無人の農産物直売所。朝採りのキュウリにナス、葉物など立派に実った野菜が陳列棚を埋めていた。天候不順の状況下でも知恵と経験で自然と向き合い、たくましく作物を育て、消費者へ届ける人たちがいる▼常設の直売所のほか、朝市や軽トラック市など地域にはさまざまな農産物の提供機能がある。地場産品の安心感や価格の手ごろさはもちろん、生産者との交流も魅力だ。国中が大変な時にこそ、地方ならではの取り組みが輝く▼伯父の畑で恒例のトウモロコシの収穫をさせてもらった。息子たちは慣れた手つきで豊かな実をもぎ採り、数時間後にはゆでたてにかぶりついて至福の笑みを浮かべた。自給自足や地産地消の意義を肌で感じられる体験機会に、ひたすら感謝である。親は口うるさく言うまい。その尊さは、作物が教えてくれる。 

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