2016年08月18日付

LINEで送る
Pocket

重さ5トンもある「柴舟」が下諏訪町内を勇壮に進む。1日に行われた諏訪大社下社の夏の遷座祭「お舟祭り」。ご神体の御霊代を春宮から秋宮へと移す神事である。柴舟には、地元保存会が手作りした翁と媼の人形が乗せられている▼「古い時代の神々の多くは老人の表情をしている」。宗教学者の山折哲雄さんの見解を著書で読んで以来、「翁」という化人の存在がなにかと気になっている。お舟祭りの翁と媼は、舟で諏訪湖を巡る上社の男神と下社の女神をかたどったとされる説もあるという▼老人を神に近い存在と考える。「こういう老人崇拝、老人尊重の思想」を生み出した文化は世界のほかのどこにも見当たらない―と、山折さんは指摘している(「わが人生の三原則」中央公論新社)。ただ、老人尊重の信仰が忘れ去られてしまったとも嘆いている▼日本の総人口に占める65歳以上の高齢者の割合が26・7%と過去最高に達し、高齢化が進む現状が改めて浮き彫りとなった。総務省が公表した2015年国勢調査の抽出速報による。老人ホームなどの施設に入居する高齢者の数は、この10年間でほぼ倍増している▼生活に困窮する高齢者が増えているとの報道もあった。生きづらさを抱えている人のなんと多いことか。団塊世代が75歳以上になる2025年問題を控え、社会保障改革や介護の受け皿づくりは待ったなしの状態だ。難しい問題である。

おすすめ情報

PAGE TOP