ホストタウン事業規模縮小へ 伊那、駒ケ根市

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東京五輪・パラリンピックで海外選手らを事前合宿などで受け入れるホストタウンの伊那市と駒ケ根市が、大会が開催される来年度、ホストタウン事業の規模を従来の計画より大幅に縮小する見通しとなった。市民と選手との顔を合わせた交流イベントなどを構想していたが、新型コロナウイルス感染拡大の収束の兆しが見えない現状を踏まえ、感染防止を優先する姿勢に傾いた。

両市への取材で分かった。両市がそれぞれ来年2月ごろに発表する2021年度一般会計当初予算案に反映されるとみられる。

ホストタウン事業は、来日する選手らと受け入れ自治体の住民との交流を通じて、地域の活性化などにつなげることを目的とする。政府によると、五輪・パラ史上初の試みで、今月2日時点で510の自治体が181の国・地域のホストタウンに登録されている。上伊那地域では両市が事業に参加している。

◆伊那市

伊那市は17年、東ティモールのホストタウンになった。同市高遠町出身の元駐東ティモール特命全権大使、北原巖男さんの仲介で09年に交流が始まったのがきっかけだった。

東京大会の開催に合わせて選手を事前合宿で迎えたり、市民と選手団との交流イベントを開いたりする計画を立てていた。だが市の担当者は今、「選手が万全な態勢で大会に臨めるよう、コロナ対策を慎重に検討しなければいけない」と強調する。事前合宿の実現に向けた準備を進めているが、感染が広がりかねない交流イベントの予定は白紙に戻した。大会後の交流予定も具体的には立っていない。

また、東ティモールは新型コロナ防疫のための国境封鎖などで累計感染者を31人(17日午後8時時点、米ジョンズ・ホプキンス大集計)に抑え込んでいるが、医療機関の設備が不十分であるなど医療水準が低い。伊那市を訪問した一行が日本から新型コロナを持ち帰って混乱をもたらす事態は避けなければならない-と市側は指摘する。継続的な交流に課題を抱える状況が当面続きそうだ。

◆駒ケ根市

駒ケ根市は16年、ネパールとベネズエラのホストタウンに登録された。ネパールとは同国第2の都市ポカラと国際協力友好都市協定を結ぶなど20年以上、ベネズエラとも同国発祥の音楽教育プログラム「エル・システマ」などを通じて10年以上、交流している。

東京大会では、市内の中心市街地にある銀座通りで大型スクリーンでの競技中継やスポーツ体験イベントなどを行う「コミュニティライブサイト」を開催し、両国について知ってもらうコーナーをその場に設ける企画を練っていた。ただ、大勢の市民が集まって歓声を上げるなどすれば感染拡大のリスクが高まる。コミュニティライブサイトを軸とした大会の盛り上げは実現が難しい状況だ。

また、ポカラからの訪日団との交流も予定していたが、時期などの見通しが立たなくなっている。

市の担当者は「来年度に何ができるのかをゼロから考える」としつつも、ホストタウン事業をめぐる情勢は非常に厳しいとの見方を示す。「何もやらない可能性もある」と話している。

■コロナ対策費 国が全額負担

東京五輪・パラリンピックのホストタウンの新型コロナウイルス感染症対策にかかる費用について、国は全額を負担する方針だ。選手らと他人との接触を避けるために宿泊施設を借り切る費用などを対象とし、感染拡大防止につなげる。選手や、選手との接触がある住民らの検査費も対象とする。

政府が15日に閣議決定した2020年度第3次補正予算案に事業費として127億円が計上された。国が資金を交付して都道府県ごとに基金を創設。同基金からホストタウンに経費が支払われる。

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