2021年1月13日付

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朝、新聞を開いて一番最初に見るのが「お悔やみ欄」だという読者は多い。お悔やみ欄が充実しているという理由で、長野日報を購読してくださる方もいる。記事には、故人の氏名と住所、亡くなった日時、年齢、葬儀・告別式の案内、職業や趣味、家族構成が定型的にまとめられている。顔写真が載ることもある▼美術教諭を経て奈良薬師寺の清掃奉仕を3年間経験した下諏訪町久保海道の黒田良夫さん(88)が4年前、長野日報で最も心して読む記事はお悔やみ欄だと話していた。一字一字丁寧に、時には声に出して読む。そして両手を合わせ、「ご苦労さまでした」と念仏を唱える▼黒田さんは死亡記事の職業や顔写真から、見知らぬ故人の生きた証しや人柄を読み取る。同じ地域でともに生きた隣人だから、「背後にいる家族や、時代も見えてくる」と語っていた▼生前交流のあった人たちに訃報が広がる。お悔やみ欄に「近親者のみで行った」という事後報告が増えたのは、新型コロナウイルスの影響だけではないだろう。義理を欠くことはできないと考える人たちの温かな支えが、残された家族の生きる力になると信じたい▼お悔やみ欄に載ることが「生涯一度のハレの場」(黒田さん)という人もいる。先日、高校時代の友人が新聞にわずか10行の記事を残して47歳で逝った。穏やかで頼もしい男の誠実な人生にこの記事をささげます。合掌。

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