2021年2月26日付

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眠くならない薬、蒸れないマスク、曇らない眼鏡。毎年春に欲しくなる品物だ。これだけの備えをして挑む相手は言わずもがな、”国民病”と称される花粉症である。各所でスギ林が徐々に赤みを帯びており、本格的な花粉の飛散開始は近い▼症状を自覚したのは10年前。睡眠中に大量の鼻水が口へ流れ出し、ろうばいして飛び起きた。上下のまぶたに目やにが厚く張り付いて開けられない。外出すれば絶えず鼻をすすり上げ、激しくせき込む。不眠に陥るほど深刻になり、専門医へ駆け込んだ▼この春に心配なのはアレルギー症状だけではない。過度の鼻水やせきに苦しむ花粉症患者の姿は、それ以外の人の目にどう映るだろうか。コロナ禍がいまだ収束をみない中で、症状に対する誤解や差別が起きてしまうのではと不安に駆られる▼大切なのは、誰しもが花粉症にかかる可能性を認識すること。人それぞれに耐性の限界があるとされ、コップにためていた水があふれるように突然発症するケースが多い。「なってみないと分からない」ではなく「どんなにつらいだろうか」と考えてみる。いま求められるのは、そんな思いやりだ▼「私は花粉症です」「花粉症なのでうつりません」と周囲へ告知し、偏見を未然防止するためのバッジが評判だという。工夫を凝らした品物に興味を抱く一方で、身に着けなくても互いを思いやれる社会こそを願う本心がある。

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