「色差分解」溶液 農業に効果 実証本格化へ

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色差分解装置を用いて、実証実験を進めている奥・農産園芸部長(右)と製造元の井上さん=八ケ岳中央農業実践大学校

八ケ岳中央農業実践大学校(原村)と長野精工金属(茅野市、矢島哲男社長)は、野菜や果物の有効成分を抽出する「色差分解」の技術で処理した溶液を農作物に散布したところ、品質向上や成長促進などの効果があることが分かってきたとして、来年度、実証実験を本格化させる。同技術が農業に与える効果を実証するのは初めての試み。溶液の科学的な分析については公立諏訪東京理科大学(同市)の来須孝光准教授=細胞工学=が協力する。

色差分解とは、水蒸気のエネルギーを利用して、適切な温度と圧力を数時間維持することで、植物から細かい分子レベルの有効成分を抽出する特許技術。同装置で植物を処理すると、エキスとペースト(固形)が得られるという。同社は7~8年前にこの技術に基づいた装置を開発し、研究や商品開発を進めてきた。

同大学校は昨夏から、同社が開発した色差分解装置で生成した溶液の散布を開始。装置からは1回に5リットルの溶液が抽出でき、農作物に散布する際の適切な濃度についても調べている。実証実験を進める同大学校の奥久司・農産園芸部長によると、1万倍に薄めても、発芽がいいなど「すごく効いている」という。「溶液が植物に何らかの好影響を与えていると思う」とし、溶液のどんな成分が植物にどのようにいい影響を与えているのか、研究を深めていく考えだ。

同装置の改良を手掛けてきた、同社の関連会社テクノマックス(同市)の井上健一さんは昨年夏から秋にかけて、同大学校で栽培したニンジンやブロッコリーの根、キャベツの芯、トマト、ナス、マリーゴールドなど20品目ほどを色差分解してさまざまな抽出液を作成。「今後も大学校と実験を進め、この技術が農業の改革に寄与するお手伝いができれば」とし、農業現場でのデータ蓄積に期待する。

奥・農産園芸部長は、野菜の未利用部分から有効な溶液が取れることや、水と植物だけから生成できる安全性などの利点も高く評価する。来年度からは同大学校の多様な作物で、溶液の種類や散布方法、濃度などを変えながら生育効果を分析していく計画。「実証をきちんと行い、農家の皆さんにも使ってもらえる溶液にしていきたい。環境にも優しく、よりよい作物を栽培することにつなげたい」と意欲を見せている。

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