信州サーモンの魅力伝えたい 茅野の木津さん

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会社の敷地内に設置したいけすから、網で信州サーモンを取り出す木津さん

”海なし県”の長野県で開発された養殖魚「信州サーモン」の魅力を伝えたい-。食品加工・卸の専門店「ベルーフ」(茅野市高部)代表取締役の木津(きつ)南(みなみ)さん=下諏訪町=は、その味に魅せられ、長年、普及に取り組んできた。ここ数年でようやく諏訪地域のホテルやレストランにも販路ができてきた。八ケ岳の伏流水で育った信州サーモンを地元の人にもっと味わってほしいと情熱を傾けている。

■海なし県で開発 新品種の養殖魚

信州サーモンは、長野県ならではの魚を開発しようと、県水産試験場が1994年から研究を開始。飼育試験を繰り返し、育てやすく肉質も良いニジマスと、ウイルス性の病気に強いブラウントラウトのそれぞれの長所を持ち合わせた新品種の開発に成功した。特殊な技術で卵を産まない雌となるため、成熟・産卵に費やすエネルギーがそのまま身のうまさに凝縮するという。2005年から流通が始まった。

木津さんは流通が始まる数年前、佐久市の知人の養殖業者の元で信州サーモンを初めて食べた。「これはうまい。長野県にこんな魚があるとは」と驚いた。「うちの店で売るから(生産を)続けて」と知人を説得した。

岐阜県高山市の出身。15歳の頃、東京に出て日本料理の道に入った。いくつかの日本料理店で親方を務めるなどし、40歳の頃、山梨県の別荘運営会社の料理部門に移った。その後、長野県内の葬祭場に勤め、縁あって下諏訪町に自宅を構えた。50代前半に独立を決意。妻の和枝さんと2000年に同社を立ち上げ、仕出しやケータリング、ロケ弁、加工品販売などさまざまなニーズに応えてきた。

■”活け締め(いけじめ)”がこだわり

信州サーモンは佐久市の養殖業者から生きたまま運ばれ、茅野市の同社のいけすに放たれる。いずれも3年かけてじっくりと育てられたサーモンだ。近くの下馬沢川から水を引き入れ、”餌止め”することで身を引き締める。注文ごとにさばく、”活け締め(いけじめ)”がこだわりだ。

新型コロナウイルスの影響で、宿泊・飲食業が落ち込む中、同社への注文も一時は例年の3、4割にまで減った。今も厳しい状況が続いているが信州サーモンへの自信は揺るがない。「川魚でこれだけの魚はない。とにかく食べてみてほしい」と語った。

■生産量は順調 19年度に425トン

県園芸畜産課によると、「信州サーモン振興協議会」に加盟する県内養殖業者は中信地方を中心に39社で、ここ数年は横ばいという。生産量は順調に伸びており、12年度の300トンから19年度には425トンにまで増えた。県は技術支援のほか、「おいしい信州ふーど(風土)」への登録やインターネットでの情報発信などに取り組んでいる。

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