2021年3月22日付

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詩の中にその言葉を見つけたちまち気に入ってノートに書き留めた。「夢焼け」。声に出しても気分がいい。「酒焼け」や「胸焼け」といった言葉ばかりが浮かぶストレス過剰な毎日だけに、胃薬代わりに「夢焼け」を噛みしめている▼表題「夕焼け」を誤植したから…と、つづられる吉野弘さんの詩「夢焼け」を読み返している。〈この眩しい文字面は/人が/外からは見えない深いところを夢に焼かれている、と/明かしてくれたネ〉。生きる力の源になる「夢焼け」。そんなイメージが湧いた▼春の甲子園センバツ(選抜高校野球大会)が開幕した。昨春、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止を伝えられ、涙を流していた球児たちの姿を思い浮かべながら、テレビで開会式のもようを見守った。2年ぶりとなる大会で、選手も期するものがあるだろう▼試合ができる幸せ。震災の年のセンバツが思い出される。「生かされている命に感謝し」と選手宣誓で全力プレーを誓った創志学園の主将は「がんばろう日本」と呼びかけた。コロナ禍に苦しむ今、選手たちは10年前と同じような気持ちで戦っているのではないか▼あすは初出場の上田西が初戦を迎える。銀傘輝く大舞台に立つ夢の炎を胸の裡に燃え上がらせ、練習に励んできた成果を存分に発揮してほしい。こちらも、もたれるくらい「夢焼け」をしながら試合を堪能させてもらうつもりである。

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