2021年3月27日付

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「誰かがやらなきゃ、米を食べられなくなるよ」。息子2人と連れ立って参加した、地元町会の川ざらいの場面。雑談に興じる大人の声に混じって、子どもたちの会話がひときわ耳に響いた。彼らは作業の意味をよく理解していた▼集まった人は用水路に入り、底にたまった土砂などをスコップで取り除いた。朝は早いし、腰痛持ちの身には重心の低い作業もこたえる。でも、これで地域の水田が潤うのだ。隣りも、また隣りの町会も同じくやらねば水は止まってしまう▼町会役員は額に汗を浮かべ、一生懸命に作業を仕切っていた。なるほど、誰かがやらねばと納得。地元では町会や公民館、交通安全協会、赤十字奉仕団などの役割を各戸持ち回りでこなす。似た事例が多いと思うが、現代コミュニティーはこうして維持されている▼取材を担当する町の消防団関係者が、今春の新入団員数は例年の半分にも満たないとため息をついた。コロナ禍で直接訪問もできず、勧誘が不調だったという。感染対策に追われる中で、複合的な担い手不足の課題からも目をそらしてはいけない▼「誰がやるの」「みんなで協力するんだよ」。子どもたちの会話は年長者の一言で見事に着地した。腰に疲労を感じつつも、家路の足取りは心なしか軽かった。互助、共助、共生。美しく響く言葉を形にするために、地域で生きる人が、みんなで将来を見つめ直すときが来ている。

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