2021年6月2日付

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黄金色のトーチを見つめる子どもたちの目は、それに劣らずきらきらと輝いていた。東京五輪の聖火リレーのランナーによる、保育園や学校への交流訪問。園児や児童らに大切な心の成長機会を届けている▼4月初旬、県内の街頭でもランナーが聖火をつないだ。ある人は新型コロナに負けない気骨を、ある人は心身のハンディキャップに屈しない意志を力走で示した。感染防止策で観覧に一部制限はあったものの、地域は温かい応援ムードに包まれた▼大役を務めたランナーだが、走ることをやめない。自ら手を挙げて子どもたちとふれ合い、大舞台で味わった感動を熱っぽく伝えている。辰野町の白鳥杏奈さん(29)は人前に出て話すのが苦手だが、今回の体験で一歩踏み出す勇気を得た。「みんなもいろんなことに挑戦して」。前向きな言葉に、とびきりの笑顔を添えた▼東京五輪をめぐっては、コロナ収束を待たない開催方針を危ぶむ声が上がり、練習に励む選手へいわれのない批判が浴びせられる事件も起きた。不協和音が響く社会に、果たして平和や友愛の五輪精神が見いだせるのか。ひたむきに生きるランナーの姿にこそ、明るい未来を考えるヒントがあるはずだ▼子どもたちはメッセージを胸に刻むと、トーチを高く掲げて歓声を上げながら駆けていた。まばゆい光景に立ち会って確信した。ランナーの願いはきっと、次世代へつながっていく。

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