2021年7月7日付

LINEで送る
Pocket

「星合ひ」という美しい言葉がある。年に一度、七夕の日にだけ、天の川を渡って会うことが許された彦星と織り姫。星合ひとは「星逢い」つまりは星の逢引のこと。国立天文台長も務めた理学博士の海部宣男さんの著書に教わった▼万葉の時代、唐から伝えられたとされる七夕はロマンチックな物語を持つ歳時記ではあるけれど、新暦の7月7日は梅雨のさなか。雨が降って天の川の水かさが増し、逢瀬のかなわなかった2人が流す涙になぞらえて、七夕に降る雨は「催涙雨」とも呼ばれている▼恋物語に水を差すような話ではあるが、牽牛星(彦星、わし座の一等星アルタイル)と織女星(こと座の一等星ベガ)を隔てる実際の距離は15光年もあるという。光の速さをもってしても15年かかる。天の川を渡るため、櫂で懸命に舟をこぐ彦星の姿が目に浮かぶ▼地上から眺めれば一対に見える星も、その距離は果てしなく遠い。コロナ禍で人と会うことの難しい現状が重なる。恋人に限らず、親しい友人や家族の間でも会えていないという人もいる。仕方ないとはいえ、心のつながりが薄まっていくようでもどかしさが募る▼コロナが早く終息しますように-。多くの人がそう願って短冊をしたためたのではないか。旅行も帰省もデートも飲み会もプロ野球観戦も大声で笑い合うこともなんの憂いもなくできるといい。彦星と織り姫はこよい出会えるだろうか。

おすすめ情報

PAGE TOP