岡谷で昆虫食の事業化 大輔さんが意欲

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改装工事中の工場で昆虫食の将来性を語る坪井さん

社会的課題の解決に向けた事業を手掛ける起業家の坪井大輔さん(44)=茅野市=が、世界的な人口増に伴う環境問題や食糧不足の解決策の一つとして注目される昆虫食の事業化を岡谷市川岸上の工場で始める。食用のフタホシコオロギを養殖し、抽出したオイルや粉末加工したパウダーを使った美容商品、健康食品を販売する。

坪井さんは札幌市でスマートフォン向けアプリの開発会社を皮切りに起業、事業売却を重ねた。正確な取引履歴を維持しようとするIT技術「ブロックチェーン(分散型台帳)」の実用化に取り組んできた。現在も複数の企業を経営する。

新たな事業展開として着目したのが国際連合食糧農業機関(FAO)が世界の食糧問題の解決策の一つとして推奨した昆虫食。EUでは2018年に食品として承認し、今後の市場拡大が予想されている。坪井さんはビジネスや講演活動で全国を飛び回る中、蚕で栄えた歴史を持ち、糸を取った後のさなぎをたんぱく源として食してきた歴史を持つ岡谷市に注目した。約500平方メートルの工場を改装して10月をめどに生産体制を整える。11日には同事業を展開する会社として「CricketFarm(クリケットファーム)」を設立。来年早々にも出荷を始める計画だ。

養殖するフタホシコオロギは一般的なコオロギよりも大きめで40日ほどで成虫になる。タンパク質、ミネラル、食物繊維、良質な脂質(不飽和脂肪酸)などが豊富で高タンパク低カロリーの食材だ。ウシ、ブタ、鳥の食肉生産と比べると、生産過程で排出される温室効果ガス、1キロのタンパク質生成に必要な飼料、体重を1キロ増加させるのに必要な水、飼育に必要な敷地ともに圧倒的に少なく、環境への負荷が小さい。100グラム当たりのタンパク質はウシやブタの4倍近くある。

工場ではこれまで培ったIoT(モノのインターネット)技術を駆使し、温度、湿度、給水、給餌の最適化を実現するとともに3人で管理できるようにし、人材コストを抑える。生産量は年間233万6000匹(約2.3トン)が目標。商品開発、自社販売だけでなく、食品メーカーや菓子メーカーとの取引にも意欲を示す。坪井さんは「今の日本はまだまだ豊かで昆虫を食さなくても動物性タンパク質は摂取できるが、世界人口が増える中で食肉の価格は高騰していくだろう。環境問題への意識が世界で高まる中、環境負荷が小さい昆虫食を消費者の抵抗感が少ない形で提供する」と展望を語った。

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