木材調達に建設会社苦心 ウッドショック影響

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木材価格の上昇が続く中でも建設工事が進む木造住宅。コロナ禍でリモートワークが定着する中、別荘需要が生まれているという=13日、原村原山の丸山の森別荘地

米国や中国で住宅や木材の需要が拡大したことを背景に、木材価格が高騰する「ウッドショック」の影響が、諏訪地方でも切実になっている。木造住宅を扱う建設会社には特に深刻だ。価格の上昇分を販売価格に反映させることが難しい面もあって利益を削らざるを得ないなど、対応に苦慮している。

■一番の被害は住宅メーカー

南信地方の木材輸入・加工販売会社の経営者は「一番被害を被っているのは住宅メーカーだと思う」と話す。輸入業者は高く売ることができる上、同社は今まで築いてきた信頼関係で優先して材の提供を受けているという一方、「丸太の輸入価格が倍に上がっているが、末端の住宅価格は倍にはできない。原価に占める木材の割合はせいぜい3割だからだ」とする。「国産材に回帰すれば問題は解決するのかといえば、否だ。資源はあっても実際に切る人がいない。出材量が劇的に増えることはない」とも指摘する。

■仕入れ価格2~3割上昇

総合建設業のスワテック建設(諏訪市)も木材の調達に苦心する。仕入れ価格はこの半年で2~3割上昇。建設業界に40年近く身を置く望月一男専務は「これまでも価格の乱高下はあったが、ここまで短期間で急激に価格が上がる状況は経験がない」と戸惑う。急激な上昇分は一部でも施主に求めたいところだが、建物の施工にはもともと大きな金額を伴うために、価格の上乗せ交渉は難しい状況が続く。「価格が落ち着くまで待っていたら、いつまでたっても木材を確保できない。工期を守ることは大事な仕事でもあり、利益を減らしてでも対応せざるを得ない」と嘆く。

「5月ごろから見積もりを取ると、木材代が40~50%ほど高くなっていた。自社努力だけでは賄い切れない」と話すのは、下諏訪町の建設会社の経営者。同社では木材価格の上昇が顧客に直接影響した契約は今のところないというが、「しばらくは高値が続き、(住宅建設を考えていても)手控える人もいるのでは」とみている。「まだ上がることも考えられる」と話し、「会社としても可能な限り努力するが、お客さまにも値上がり分について理解してもらうように誠実に対応していく」としている。

■消費者から懸念の声

消費者からも懸念の声が聞かれる。5月から自宅の新築工事をしている岡谷市の70代の夫婦は、工務店から「もしかしたら予定より金額が上がる場合もある」と説明があったという。昨年から早めに新築準備を進めていたことで木材は確保 してもらっていたというが、「予算の範囲でとお願いしているので大丈夫だと思うが、ニュースなどを見ると少し不安もある」と話す。

輸入材の価格高騰や品不足を受け、県産材の販路拡大に向けた動きもある。県は今年度の一般会計補正予算案に、県内の工務店に対して住宅新築やリフォームの際の県産材購入を支援する補助金を盛り込んだ。工務店と県産材の製材工場とのマッチングの場をつくることも計画している。

■地域林業振興後継者不足も

ウッドショックによって地元産材の需要が高まることが期待されるところだが、諏訪森林組合では取り扱う樹種のほとんどを主に合板に使われるカラマツが占め、建築材となるヒノキ、スギは1割に満たないため、「恩恵」は少ないとする。さらに、森林法に定められた区域での伐採は1カ月前には市町村へ届け出ることが必要で、1カ月後に木材の価格や需要がどうなっているか明確に見通せない中での急な対応は難しいという。

地域林業の振興に向けては、後継者不足という課題も抱える。同組合の藤森良隆組合長は「担い手として、若い人に体験でもいいので山作業に加わってもらえたら」としている。

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