2021年10月14日付

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今の日本の風潮は「今だけ、金だけ、自分だけ」だと、知り合いの経営者が嘆いていた。「三だけ主義」と言うそうで、東京大学の鈴木宣弘教授(農業経済学)が唱えた言葉だと聞いた。JAcom(農業協同組合新聞)に寄せた鈴木教授のコラムに詳しい▼ネットで検索すると研究室の卒業生に贈った鈴木教授の祝辞が掲載されている。「目先の自身の儲けや保身に陥ると、自分も組織も長期的には持続できない」と三だけ主義を戒め、「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」が大切だと諭している▼40年前の小学校入学当時を思い出す。大学を出たばかりの担任のK先生が繰り返し語っていた。「思いやりのある人になりましょう」。折に触れてこの言葉と向き合って生きてきた。学校や職場、家庭で押し通した自分本位を述懐する。相手はどう感じただろう。何とも寒々しい思いがする▼岸田文雄首相が臨時国会会期末の14日に衆院を解散する。総選挙は19日公示、31日投開票の日程で行われる。各党の公約も出そろってきた。「今だけ、金だけ、自分だけ」になっていないか。「思いやり」は誰に向かっているのか。しっかり見極めたい▼経営者は「三だけ主義」が地域社会に与える影響を心配していた。自治体の将来展望を描く機運が盛り上がっていないというのだ。自治体の三だけ主義は、「住民不在」と言い換えることもできる。

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