農家、観光地に悲鳴 記録的な長雨

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記録的な降水量と日照不足で裂果したブドウ=伊那市西箕輪

記録的な降水量と日照不足で裂果したブドウ=伊那市西箕輪

台風の接近や長雨で各地で記録的な降水量となり、日照不足に見舞われた9月。上伊那地方では稲刈りの遅れをはじめ、農作物に影響が出始めている。連休を直撃した悪天候で観光も大打撃だった。天気は10月に入っても安定せず、関係者は近づく台風18号の進路も気にしながら、秋空が戻ってくるのを心待ちにしている。

◇農作物の品質 低下や収穫遅れ

「15年間やってきたけれど、こんなことは初めて」。伊那市西箕輪の6農家でつくる「みはらしぶどう生産組合」の山口貴之組合長(37)は、ブドウの皮が裂ける「裂果」が広がった自身の畑で肩を落とす。裂けた果実は品質低下が進み、「ノースレッド」や「藤稔」がほぼ全滅。他の組合員の畑でも似た状況がみられるという。

組合の農家では、ぶどう狩り客の受け入れも行っているが、悪天候による予約キャンセルが追い打ちをかけた。山口組合長は「ほかの品種は大丈夫だと思うが、ナイアガラにも裂果の兆候がみられる」と気をもむ日が続く。

農業への影響は特に大きい。上伊那地方で生産が盛んなブロッコリーは品質低下や収穫の遅れが発生している。JA上伊那営農部によると、この時期としての出荷量は例年の1割程度にとどまっている。

9月中に完了予定だった稲刈りは、1週間から10日の遅れが取り戻せない状況。雨が降り続いた18日から1週間は全く作業ができず、「これだけ長い間刈り取れなかったことはなかった」と関係者。刈り入れの遅れによる品質低下が心配される中、同JAの担当者は「刈り取り完了は10月半ばまでずれ込む可能性がある」と表情を曇らせている。

◇野菜価格が高騰

野菜の価格が高騰している。伊那地方卸売市場(伊那市)の丸伊伊那青果によると、レタスは例年の2・5倍で、ホウレンソウや小松菜などの葉物類も数倍に上昇している。「入荷量も少なく、相場があってない状況だ」と同社。上伊那産を含め、県外産も同様の傾向で、「ここ10日ほどは特に上昇しており、当分続くのではないか」と予想している。

伊那市狐島のA・コープ伊那中央店の担当者は「消費者の皆さんが購入しやすいよう、できるだけ価格転嫁せずに頑張っているのだが…」とぽつり。葉物類を中心に全般的に入荷が少なく、水分を含んだものが多いため、品質に気を留めながら店頭に並べる毎日という。買い物に訪れた市内の女性は「普段と比べて高くなった感じがする。購入するか、考えてしまう」と話していた。

◇観光客9割減も

観光は大打撃だった。連日の悪天候により観光客の動きは悪く、箕輪町の「赤そばの里」の来場者は例年の半分だった。

中央アルプス駒ケ岳ロープウェイの利用者は3割減だった。「秋の行楽シーズンにこれだけ雨が続くのは珍しく、多大な影響を受けた」と嘆く同社。特に連休絡みの17~23日の利用は前年の10分の1。台風16号の接近に伴う雨量規制で18日午後から21日朝にかけて運休となったことが響いた。

南アルプスも同様だった。伊那市営南ア林道バスの利用者は前年同月の53%。林道バス営業所の担当者は「8月までは順調だったが、9月は大ブレーキ。これからの紅葉シーズンに期待するしかない」と話した。

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