2022年3月12日付

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みんなにこやかに記念写真に収まっている。胸に掲げた一枚の紙は、卒業証書。誇らしげな表情がその重みを物語る。仲間と勉学に励み、心身を鍛えた努力の結晶だ。厳しい寒さはどこへやら、今年も卒業のシーズンを迎えた▼長野日報は毎年、各市町村の卒業式を細かく取材し様子を伝えている。担当業務によるが、保育施設を含めて短期間に何度も取材する記者も。筆者が担当する町には世代別の学校がそろい、多い年は6、7回も卒業を報じる役割を担う▼そんなに取材して飽きるのでは―と案じてくれる人もいるが、退屈と感じたことはついぞない。全てに当事者のドラマがあるからだ。厳粛な雰囲気の中で、感謝の笑顔と涙にあふれた人生の節目に立ち会える。これほど尊い仕事はない▼ここ数年の卒業式はとりわけ感情に響く。コロナ禍で休校やリモート授業を経験した卒業生は、晴れの場面で達成感をにじませる。望んで向き合った壁ではないけれど、乗り越えた先に見た景色は、何にも代え難く輝いていただろう。「自分だけの花を咲かせたい」。代表者のあいさつで、決意の言葉がきらりと光った▼卒業式は単なる通過儀礼ではない。自己研さん、協調、成功、挫折。人生で向き合うべき大切なことが、学校での日々に詰まっていたと思い出させてくれる時間なのだ。卒業生に若かりし頃の自分を重ね見て、また頑張ろうと心に誓う春である。

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