2022年3月28日付

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思い出詰まった学びやを巣立ち、進学や就職する生徒や学生、長年勤めた職場を離れる社会人…。4月から始まる新生活や次のステージに向けた準備が整い、それまで所属していた居場所から送り出していただくセレモニーを終えてもなお、年度末までは籍がある。ぽっかり空いた3月末はどこか不思議な時間である▼中学3年の3月末に少しモヤモヤしながら抱いていた淡い恋心が今となっては懐かしい。卒業までタイミングがつかめず、その後、顔を合わせる機会がなく、思いを内に秘めたまま桜のつぼみは膨らみ、高校生活が始まった▼毎年というわけではないが、そんな甘酸っぱい青春の思い出がこの時期、ふとよみがえる。ノーベル文学賞を受賞した川端康成が代表作「雪国」の中で女に言わせた台詞「なんとなく好きで、その時は好きだとも言わなかった人の方が、いつまでもなつかしいのね。忘れないのね」。社会に 出て出合ったこの名言が自らの経験と重なり合って時折顔を出す▼「たとえふられると分かっていても告白した方がいい。後悔しないために」とはどこかのドラマで見たようなさわやかな展開。それでも十五の春に思い伝えられず、過ぎ去った時間は私の心の財産の一つ。その子が今、どこで何をしているのか知る由もないが、元気であればと願う▼あなたの心に残っている人は告白した人ですか。それともしなかった方ですか。

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