2022年5月14日付

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一度食べたらとりこになるおいしさ。ふるさと納税の返礼品サイトを閲覧中、そんな一文に目が止まった。熟成肉。一定期間寝かせることで肉にうま味や甘み、香りが凝縮するという。「究極の逸品」のうたい文句に生産者の絶対的な自信がうかがえる▼”熟成”という甘美な響き。味わった経験がなくてもおいしさを確信してしまう。無論ただ放置しただけの食品を指す言葉ではない。適切な環境を維持し、じっくり熟成させることにより、食品の内部でうま味や風味が増す化学変化が進むそうだ▼冷蔵庫がなかった時代、人々は食品を乾燥させたり、塩漬けにするなどして保存性を高めてきた。寝かすことでおいしくなる。熟成食品が偶然の産物であるならば、その事実に気づいた先人たちの挑戦に敬意を表したい▼豪雪地帯では古くから、あり余る雪が天然の冷蔵庫として活用されてきた。温度と湿度が一定に保たれた雪室の中では熟成がゆっくりと進み、野菜や果物の甘みも増すという。農産物の付加価値を高める貯蔵方法としても注目を集めている▼標高2612メートルの中央アルプス千畳敷では今春、雪中で約3カ月間熟成された純米大吟醸酒と日本茶が掘り出された。日本酒は6年目、日本茶は5年目の取り組み。「柔らかい口当たり」「香りがよく出ている。味もまろやか」と太鼓判を押す関係者の言葉に、消費者として期待を膨らませている。

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