藤森栄一賞に忍澤さん、西川さん 県考古学会

LINEで送る
Pocket

県考古学会は21日、在野的精神で考古学研究の発展に功績を挙げた研究者を表彰する第46回藤森栄一賞に、千葉県市原市教育委員会職員の忍澤成視さん(58)=市原市=と神奈川県立高校教諭の西川修一さん(62)=横浜市=の2人を選んだと発表した。忍澤さんは縄文時代の市原市の貝塚、貝製品、動物の骨などを材料に作られた骨角器の研究、西川さんは弥生、古墳時代の南関東の社会変動の研究に取り組んできた。

選考委員会(笹沢浩委員長、11人)は同日、諏訪市公民館で開き、全国の推薦委員から推薦された個人10人を受賞候補者として審査し、「研究成果、市民との連携や普及活動ともに甲乙つけがたい」として、2人の受賞を決めた。同賞の複数同時受賞は6年ぶり6回目。

忍澤さんの貝塚、骨角器の研究は縄文時代の古東京湾での漁労活動の解明に役立てられている。貝製品に対する生物学・考古学的研究に基づいた独自の専門領域を切り開いたほか、日本各地の海岸のフィールド調査を積み重ね、数万点にわたる資料サンプルを収集し、理解を深めた。「貝輪製作教室」などを通じて市民への普及活動にも取り組んでいる。「歴史ある賞を受賞でき、光栄に思う。これからも研究の歩みを止めることなく取り組んでいきたい」と語った。

西川さんは、土器の形態、材料、技法などの特徴と時代や地域性の比較などから、時代の変遷や地域間の関連性などを明らかにする型式学的研究を軸に弥生時代後期から古墳時代前期の調査研究を重ねた。数々の遺跡の調査結果を地道に調べ上げ、この時代の南関東に東海地方から集団の移住、入植があったとする説を提起。「弥生時代の人々は定住し、西日本から伝わった文化や技術を取り入れた」とするそれまでの説とは異なるものだったため、当初は学界からも批判的な評価を受けたが、高い実証性に裏付けされた研究は徐々に評価されるようになり、今では西川さんの説が定説的な見解となっている。若手研究者や市民と連携した研究や文化財の活用にも積極的に取り組んでいる。「藤森栄一先生の本を読んで考古学に興味を持ち、その道を進んできた私にとって先生の名を冠した賞をいただけるのは望外の喜び」と語った。

授賞式は6月6日に県立歴史館(千曲市)で行われる予定。

おすすめ情報

PAGE TOP