U35の視点 昨年遭難3件、三ツ岳に登る

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三ツ岳の2峰。大きな岩が積み重なるようにして山頂を形成していることが分かる=7日午前11時30分

昨今のアウトドアブームで、登山を楽しむ人が増えている。その一方で、魅力豊かな山々が連なる信州では、遭難事故も相次いでいる。2020年は全県の約2割を占める33件が八ケ岳連峰で発生し、このうち3件が北八ケ岳の三ツ岳で起きた。赤岳など人気の山と比べて登山者が少なく、難易度も決して高くはない三ツ岳でなぜ遭難事故が3件も発生したのか-。記者は8月上旬、実際に三ツ岳に登ってみた。

三ツ岳(標高2360メートル)は1~3の三つの峰がある山で、いずれの峰も大きな岩がゴロゴロとしていることが特徴。北八ケ岳の観光地として知られる坪庭から登る登山者が多い北横岳とは30~40分ほどの距離にあり、北横岳に登った登山者がその足で三ツ岳に登ることも多いようだ。

三ツ岳について県警山岳安全対策課の櫛引知弘次長は「傾斜が急な岩場があり、下山時の転倒や滑落で大けがを負う可能性がある」と指摘する。20年に発生した遭難事故3件のうち2件は転倒で、ともに疲労がたまり集中力が欠けやすい午後に発生している。転倒したのは60代と70代の女性で、いずれも下りの時に足を滑らせてけがをした。残る1件は発病だった。

記者は午前10時すぎに坪庭を出発し、雨池峠から雨池山(標高2325メートル)を経由して三ツ岳に向かった。

雨池山を越えて鞍部を過ぎると、周囲には岩が目立つようになった。岩をつかみながら80メートルほど一気に駆け上がると辺りはハイマツ林になって展望が広がり、遠くには茅野市街を望めた。稜線に上がったため風もあり、涼しさを感じた。

5メートルほどの高さがある1峰付近の鎖場。アスレチックのようで楽しい反面、けがのリスクもあり、慎重に上り下りする必要がある=7日午後0時9分

三ツ岳1峰の手前には、高さ50メートルほどの鎖場がある。三ツ岳には計3カ所の鎖場があり、いずれも高低差がそれなりにあるため、下る際には注意が必要だ。この場所で出会った50代男性登山客は「思ったよりも疲れるね」と軽く息を切らしていた。

坪庭から1時間ほどかけて登った1峰には、先客の40代男性が休憩をしていた。お盆に北アルプス縦走を計画しているという男性は、体力づくりで愛知県から訪れたという。「岩場が面白いかなと思ったので(三ツ岳に)寄ってみた。思っていたよりも岩がゴロゴロとしていて少し大変だった」と笑顔をみせた。

1峰から3峰にかけては、蓼科山の山頂のように大きな岩の上を歩いていく。道に迷わないよう数メートルおきにマークが付けられた岩をたどりながら歩いていく。岩場ならではの岩と岩との大きな隙間もあり、足を踏み外す危険があるコースとなっている。

3峰を下ると登山道が再び樹林帯となり、さらに20分ほど歩くと北横岳との分岐に着く。分岐には「この先危険」の看板があり、軽装で訪れた観光客が三ツ岳に立ち入らないよう注意喚起がなされていた。

■安全登山を心掛けて

今回の取材を通して、改めて登山の楽しさを実感した半面、登山の危険も感じました。記者は高校時代から登り始めた山好きですが、岩稜から坪庭や雨池を見渡せたり、大きな岩場を乗り越えたりと充実した山行となりました。一方で、疲労から「滑りそう」「踏み外しそう」と感じる場面も何度かありました。

登山は一歩間違えればけがや道迷いなどのリスクがありますが、事前準備を適切に行うことでリスクを軽減できます。「家に帰るまでが登山」です。登山の際には事前準備を怠らず、自身の体力を考慮した安全登山を心掛けてほしいと思います。

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新企画「U35の視点」。35歳以下の記者が、日常の取材活動の中で感じたこと、気になることなど、独自の視点でさまざまな事象や話題に迫ります。

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