2022年2月23日付

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松代藩家老・恩田木工の名の記された木簡が松代城下町跡の発掘調査で発見された。恩田木工は最年少の家老ながら藩の改革担当に抜擢され、公平無私、謹厳実直な態度で藩をまとめ、綱紀粛正と財政再建を図ったと伝わる▼長野市教育委員会の発表によると木簡は書状を入れた条箱の蓋か、または蓋に添付されていた木札だろうという。2人の重臣に挟まれて恩田木工の名があり、両脇2人の名前の後には「様」とあるが、恩田木工には敬称がないので、恩田木工から発給されて回覧されたのかもしれないという▼恩田木工といえば率先垂範で質素倹約に励み、誠実さで領民の心をつかんでいった、その人柄が「日暮硯」では伝えられているが、現代の研究者の著作などを読むと、長期的な視野を持って極めて合理的に思考する知的な側面も見えてきて、興味が尽きない▼県民にはおなじみの郷土の偉人だが、こうして当時の墨跡でその名前を見ると、遠い存在だった歴史上の人物が実在の人間として生々しく感じられてくる。同市教委の発表によると、発掘調査で「恩田木工」の名前が記された文字資料が見つかったのは初めてというから、なおさらだ▼つい、「当時の本物の墨跡でその名前を見ると」などと書いてしまったが現在は発表資料で写真を見ることしかできないので、来月16日から真田宝物館で公開される木簡を目の当たりにするのが楽しみだ。

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