北アのライチョウ 温暖化で絶滅危機

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国特別天然記念物のニホンライチョウについて、県環境保全研究所(長野市)などでつくる研究グループは、温暖化によって今世紀末には北アルプスでの生息に適した環境がほぼ消失するとした予測をまとめた。生息に欠かせない高山植物が減少するためで、同研究所は分析結果から絶滅の可能性が高いことを指摘している。研究成果は10日、英科学誌BMCエコロジー電子版に掲載された。

今回の調査は、主要な生息地の槍ケ岳や穂高連峰など北アルプス中南部が対象。ほかの生息地の乗鞍岳や南アルプス、絶滅したとされる中央アルプスや八ケ岳での予測も進めていて年度内に成果を示す予定だが、同研究所は「今回と似通った結果になるのではないか」としている。

予測結果は、ライチョウの縄張り分布のほか、餌やすみかとなる高山植物の植生、気候変動の関係性を分析して導き出した。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による二酸化炭素の排出シナリオなどを基に、今世紀末の平均気温が現在より2~4度上昇すると想定した場合、高山植物が減少して生息に適した環境が現在の0・4%まで消失すると予測。ライチョウの生息環境は高山植物に強く依存することも裏付けて、個体数への影響を危惧している。

ニホンライチョウは環境省のレッドリストで絶滅危惧種に指定され、保護や増殖事業が進む。同研究所は、生息可能な全山域の予測がそろえば「保護する山の優先順位などを決める土台となる」と指摘。温暖化を念頭に置いた対策地点の選定や、より生息しやすい山域への個体の移動事業が重要だとしている。

国立研究開発法人・森林総合研究所や高知大などとの共同研究。主導した県環境保全研究所の堀田昌伸自然環境部長は 「高山帯の象徴であるライチョウが危機的な状況であると知ってほしい。 絶滅を防ぐ温暖化対策や保全策が必要だ」と話した。

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