「伊那在来そば」復活始動 伊那市と信大

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「伊那在来そば」の復活に向けた増殖栽培で種をまく信州大学農学部の学生

伊那市西部で栽培されていたとみられる在来品種「伊那在来そば」の復活を目指す市と信州大学(本部・松本市)の共同プロジェクトが20日、本格的に始動した。国の研究機関に保存されていた種子を増殖栽培するため、信大農学部(南箕輪村)の畑に種をまく作業を実施。種を増やすとともに性質を調べ、農家による試験栽培や生産体制の確立につなげていく。

同品種は市西部で唯一の在来そばとされ、同学部で1980~90年代に栽培された記録が残るが、詳しい特性は分かっていない。市は、新たなそばブランドの確立に向けて今年1月、伊那在来を保管していた国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構遺伝資源研究センター(茨城県つくば市)から種500粒の提供を受けた。市東部では別の品種「入野谷在来そば」を復活させた実績もある。

保存されていた国の研究機関から提供を受けた伊那在来そば

増殖栽培は、同大学の学術研究院農学系の松島憲一教授(植物遺伝育種学)が担当する。この日は200粒を畑にまいた。10月上旬に収穫予定で、隣には入野谷在来や県内で最も栽培されている「信濃1号」もまいて生育を比べる他、味の分析なども行う。数年かけて種を増やし、農家での試験栽培、本格的な生産へとつなげる計画だ。

新たな産地としては「行者そば」の伝説が残る同市西部の内の萱地区などを想定。松島研究室の牧野光さん(22)=農学部4年=は「伊那在来の詳しい記録はほとんど残っていない。今後の栽培に役立つ性質を調べることができれば」と意気込む。

松島教授は、入野谷在来などを含めて「お米のように品種名でそばを楽しめるようになれば」とさらなるそば文化の振興に期待を掛け、「そのためにはまず種を増やすことが肝心だ」と話した。

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