佐々木さん尖石縄文文化賞 植物考古学に新領域
茅野市の第24回宮坂英弌記念尖石縄文文化賞に、金沢大学古代文明・文化資源学研究所特任准教授の佐々木由香さん(49)が選ばれた。選考委員会(小林達雄委員長)が13日、今井敦市長に答申した。植物考古学の重要性を広く認知させるとともに、新たな領域を開拓した点が評価された。
東京都出身の佐々木さんは、東京都東村山市の下宅部遺跡から出土した膨大な植物遺存体の研究を通じ、同遺跡の植物利用の実態解明に取り組んだ。
その後もドングリ、クリ、マメといった種子・果実などの大型植物遺体の分析や樹種同定、土器種実圧痕分析、土器付着炭化植物遺体の分析を実施。縄文時代の人たちが、食料や生活製品に植物資源をどのように利用したかについて、各地の研究者と協力して解明してきた。中でも植物素材の編みかご製品について、実際に復元して縄文時代に多様な編み方と素材の利用が行われていたことを明らかにした研究が評価された。
市役所で市長に答申した会田進副委員長は「植物考古学の第一人者といえる」とし、「植物考古学は縄文時代の社会の本当の姿をあぶり出す。研究内容は分かりやすく身近な話で、生活に即した受賞者となった」と述べた。女性の受賞者は3人目。
佐々木さんは取材に「名誉ある賞で植物考古学が評価されたことがうれしい。一人ではできない研究で、さまざまな分野の専門家や一般の人に力を貸してもらってできた成果だと思う」と話した。
授賞式は11月12日午後1時30分から、同市尖石縄文考古館で開かれる。