シルクうなぎ「宇宙日本食」に 観光荘の挑戦

LINEで送る
Pocket

到着したばかりのシルクうなぎのかば焼きのレトルト品を手に笑顔を浮かべる宮澤社長(右)と三ツ井主任。透明のパッケージはサンプル用

岡谷が誇るブランドうなぎが国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙飛行士の間で話題になる日は案外、近いかもしれない―。岡谷市川岸東のうなぎ料理店「観光荘」(宮澤健社長)は、蚕のさなぎを餌に混ぜて育てた国産ウナギ「シルクうなぎ」のかば焼きを、2023年ごろにISSに長期滞在する古川聡宇宙飛行士向けの「宇宙日本食」として採用してもらうため、挑戦を続けている。

■「宇宙で食べたい」 取り組みに本腰

きっかけは19年12月。宇宙旅行の最前線を知る講演会や、「夢は月への自転車旅」と語った自転車冒険家の小口良平さんの講演などに刺激を受けた宮澤社長(44)が、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「宇宙日本食」について問い合わせたのが始まりだった。

20年1月には宇宙日本食の開発を目指す企業との意見交換会に参加した。今年2月のオンライン意見交換会では古川さんが宇宙で食べたいものにうなぎを挙げたことから、開発への取り組みに本腰を入れた。宮澤社長は加工部の三ツ井義明主任(39)を「宇宙日本食開発担当」に抜てきした。

求められるのは味だけでなく、賞味期間1年以上という長期の保存性、基準を満たす徹底した衛生管理の実践と詳細な記録などもある。応募の締め切りは今月30日。8月中に行われる一次審査を通過すれば、1年間の保存試験に入り、その後も立ち入り検査や二次審査などが続く。

■認証の実績持つ製造会社と交流

開発に向け、宇宙ビジネスのコンサルタント会社の紹介で、JAXAの宇宙日本食認証の実績を持つ香川県の加工食品製造会社との交流が始まった。大手食品メーカーが集まる”宇宙日本食業界”に参入した地方の中小企業同士という同じ立場からすぐに意気投合した。現在、シルクうなぎのかば焼きのレトルト化を同社に依頼している。

今月4日、レトルトの試作品が観光荘に届いた。中身は白焼き、たれ付け1回、同2回という3種類計14袋。内容物に「宇宙日本食サンプル」と記載された荷物を受け取った三ツ井さんは喜び勇んで宮澤社長のもとに。中身を確認し「もうね、本当にワクワクしかないよ」と三ツ井さん。

シルクうなぎの宇宙食化に向けては、元宇宙飛行士の山崎直子さんともウェブ会議システムを通じて懇談した。山崎さんから「うなぎは元気が出る食事。(ISSでは)いろいろな国の宇宙飛行士がそれぞれの国の宇宙食を持ち寄って交換し合って食べることがある。そんな形で各国に広められたらいいですね」と激励のメッセージを受け取り、気持ちは高ぶる。

宇宙食採用への審査がいよいよ始まるところまできた。宮澤社長は「これからがチャレンジの本番。宇宙食の夢が実現できたら本当にうれしい。それだけじゃなく、実現を目指す今後の取り組みの中で生まれるであろうドラマも楽しみにしている」と満面の笑みを浮かべながら語った。

おすすめ情報

PAGE TOP